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日本生活支援工学会
日本生活支援工学会の発足にあたりごあいさつ
 
初代会長 斎藤 正男

     2年間の皆様方の議論を集約して、この学会がどういう性格のものであるか、日本生活支援工学会の基本構想をまとめてみました。

     第1に、高齢者と障害者のための技術開発は、多くの学会で熱心に活動が行なわれていますが、学会同士の連携は必ずしも充分でありません。また、学会と福祉実務者のつながりも充分ではありません。これは学者が現場を知らないこと、現場の方では学術的要素が足りないことに起因します。横の連携、縦の連携を十分に行わないと、良い技術の開発はできません。連絡が悪くて研究資源が無駄になっていることも感じます。2番目に、社会から見て学界の窓口がどこかよくわからないという点があります。この2つが主な問題意識だと思います。この2つを中心にして、長年の議論を重ねてきました。行政、関係官庁はもちろん、産業界、あるいは(財)日本システム開発研究所など、各方面のご尽力をいただき、この学会を作ることになりました。会長職に推挙いただき、光栄に思うと同時に、大変なことだと思っております。皆様方のご協力をいただき、任務を果たしていきたいと思います。

    このような主旨でありますので、この学会は各学会を束ねるとか、屋上屋を重ねるというような主旨のものではありません。水平方向の連絡が重要だと思っております。その水平方向とは学会間だけではなく、工業会も官庁直属の関係団体まで、できれば連絡のネットワークに入っていただき、お互いに意見を交換していくのが大切です。このため、個人会員を増強するのはもちろん、関係団体には連携団体という形で関係を持つことを推進していきます。すでに10以上の団体から、前向きのご回答をいただいております。
  
  学会の範囲と名称に関しては、障害者・高齢者だけではなく、人々すべてが幸せな人間関係を築くことを目標にしたいと思います。学会の名称が少し歯切れが悪いのは認識しております。学会としては、学者だけでなく、熱意と見識のある方にはできるだけ多く入っていただきたいと思っています。どなたでもどうぞという姿勢をとりますが、学術団体としての形は失わないようにと考えております。名称は、大きく分けて2つの意見に分かれました、工学に想いを寄せる方、もっと広く参加しやすいように工学という名を取るべきという方に二分されましたが、とりあえずこの名前に正式に決めたいと思います。しかしながら、気持ちとしては、「仮称」と思っております。これからの動きによっては見直ししてもよいでしょう。

  
  活動に関しては,当面3つのことを中心に考えております。社会に対する学界の代表窓口として機能すること、異なる専門分野の連絡・協力をはかること、この分野の学術に体系を与えることの3点です。体系に関しては、教育・資格といった点で世の中に貢献できる人材は何なのかを明確にしたいと思います。具体的には電子媒体による情報交流、名簿等役に立つ資料の作成、それから重要なこととして資質委員会の立ち上げがあります。どういう人が必要なのかを議論する委員会を早急に発足させます。大会については、来年春ごろを目処に企画を進めますが、本学会は今までにない幅広い分野を対象とする学会でありますので、研究発表のみをメインとするのではなく、世の中を思想的に先導していくことを目指したいと思います。いくつかの学会にまたがる話題についての講演とか、小人数グループの議論の場を提供していくような役割もあると思います。将来的には、学会にまたがる研究プロジェクトを実施するところまで進んでもよろしいと思います。まだまだ準備が整っているわけではなく、動き出してから考えていくことになりますが、皆様方のご意見ございましたらいただきたいと存じます。

 

1.学会設立のご案内

 高度技術化を背景とした高齢社会においては、身体的あるいは情報弱者としての高 齢者・障害者を支援し、介護・自立・就労など前向きの人生を支えることが必要ですが、さらに元気な高齢者を含む全ての年齢層の人達が、積極的で健康な生活を享受 し、幸福な人間関係を維持することが活気ある社会を形成するために必要です。現在、このような観点から、非常に多くの専門学会が設立され、それぞれの専門の立場から学術の進展と社会への貢献を志向しています。一方、高齢者・障害者を含む 人々の生活の問題は、どれをとっても多岐にわたり、独立の専門分野だけでこれらを 解決することはできません。
 
こうしたことから、現状においては、多数の専門学会を束ねて統合するよりも、密接な連携を図るための組織をまず作る必要があります。そのような位置づけで「日本生活支援工学会、(英語名:The Japanese Society for Wellbeing Science and Assistive Technology)」を平成12年9月11日に設立しました。本学会は個人会員で構成されますが、重要な構造として、多くの関係専門学会等に 「連携団体」として公式に関係を持つことが重要と考え、水平方向での情報交換と協力 を図っていきます。本学会は「工学」の名称を付しておりますが、決してそれにこだわるものではなく、工学分野はもちろん、福祉専門職、医学、心理学、社会学など、さらに行政、産業、民間 の方々などで、この学術分野に関心をお持ちの方々に、広くご参加を呼びかけるもの であります。

2.目 的

  本学会は、高齢化、高度技術化など急激に変貌しつつある社会環境において、個人 の尊厳、人間関係、生活の質などの観点から、すべての人の幸せなることを願い、医学、工学、社会福祉、心理学など生活に関連する学術・社会活動についての知見を広く結集し、連携と総合化によって、学術の進展と社会への貢献を図ることを目的として掲げています。

 3.活 動

本学会は次の活動を行います。

 1)この分野を広くカバーし、行政、産業界、学術会議など、社会に対する専門学術団体窓口となる。
 2)異なる専門学術分野間の連携を図る。
 3)この分野の学術に体系を与え、教育、資格などの制度を整備する。

こうした観点から、各種会合、情報の発信、研究活動の推進、人材育成、啓蒙などの活動を行います。具体的には、(1)年1回の大会、(2)ニュースレターの発行、(3)各種関連団体との連絡・協力による研究・教育の推進、(4)本学術分野の体系化と人材育成等の方策の検討・提案等を中心に活動を行います。なお、「学術雑誌」については、学会の体制が整い次第発行したいと考えております。